新渡戸稲造記念 メディカル・カフェ

設立に際して

新渡戸稲造博士は1862年9月1日に、盛岡市鷹匠小路(現、下ノ橋町)に生まれた、日本を代表する偉人です。博士は、第一高等学校校長、国際連盟事務局次長などを歴任されましたが、特筆すべきは、『武士道』の著者として、日本の純粋なる精神を世界に紹介されたこと、そして、公明正大な人道的立場から様々な社会奉仕活動を行われたことです。教育分野では、幾多の有為な人材を世に出す一方、女子教育の重要性をいち早く指摘され、東京女子大学の設立に尽力されました。医療の分野でも、賀川豊彦氏と共に、当時では画期的な医療組合病院の設立を行っています。現在の、岩手県立中央病院を含む多くの岩手県立病院は、その流れを汲むものです。

新渡戸博士はバイタリティー溢れる人物で、欣然たる微笑により、数多くの人々を力づけておられましたが、自身は非常に繊細な一面を持った人物でありました。札幌農学校在学時には苦悩の時期があり、その際にはカーライルの『衣装哲学』により、心の霧を振り払い、自らの「品性の完成」を目指して突き進みました。また、博士には、他者のためなら我が身を省みない男気に勝るところがありました。慈愛の心も深く豊かでした。欧米留学後に教授しとて迎えられた札幌農学校では、寝る間もないくらいの献身的な活動が災いして、心身の過労により休職のやむなきに至っています。当時、博士は札幌農学校以外に、札幌遠友夜学校、普連士女学校で教鞭を取っておられましたが、一人でも多くの若者に、自らが学んだ最高の教育を授けたいという情熱がひしひしと伝わる逸話です。実は、『武士道』は、この休職中に英文で書かれた書物であります。

さて、メディカルカフェとは、患者さん、ご家族、医療者が、一人の人間として同一平面で語り合い、静思する場です。新渡戸博士の、平易かつユーモアに溢れた、何とも言えない温かみがあり、一方、成長の可能性を秘めた存在としての人間に、深く思いを致さずにはいられないという心の在り方は、メディカル・カフェに携わるものにとって、高き目標であり理想とするものです。図らずも、2012年は新渡戸稲造博士の生誕150周年を記念する年ですが、我々がメディカル・カフェを発足しようとした時機と符合することには、運命的なものを感ぜずにはおられません。岩手の地でメディカル・カフェを始めるに当り、我々は、賢明な寛容の心を持ち、高き理念を掲げながらも、空理空論を排除して実行を旨とした、当地の誇る偉大なる先人、新渡戸稲造博士の御遺徳を記念して、「新渡戸稲造記念メディカル・カフェ」の設立を宣言するものであります。

新渡戸稲造記念 メディカル・カフェ 設立発起人一同

メディカル・カフェのルール

  • 参加して得た情報は他言しないようにしましょう
  • 他の方の意見を批判したり非難したりしないようにしましょう
  • 他の方を傷つけるような発言はしないようにしましょう
  • 特定の販売行為や勧誘行為はしないようにしましょう
  • 日々の気がかりや感じていることを自由に語り合いましょう

インタビュー

新渡戸稲造記念メディカル・カフェに参加して S.Tさん

昨年12月に岩手県内で初めてスタートして、これまで3回参加したことから、率直に感じたことを述べてみたい。がんは、「国民病」とか、「2人に1人が患者」と言われていながら、なぜすべての国民の理解を得るまでに至っていないのだろうか。

これまで、他の疾患と違い、発病したことを診断されれば、常に再発・転移の可能性がつきまとい、完治することの難しさ、さらに本人告知がされなかった当時の先入観が引きずっていると思います。

今日の医療技術の進歩にもかかわらず、いまだに自分が患者になって初めて知る、家族が初めて知る状況では、いくらメディアが取り上げても、国民的理解はしばらく時間がかかります。特に、「治療に対する不安・悩み」について、時間をかけて納得のいく相談ができない現実を、自分が思っているがんと向き合える対策を、質と量ともに充実させてほしいと患者・家族は願っています。

「メディカル・カフェ」はこのような現状を解決するために、一歩でも前進するために、患者・家族・医療スタッフが気軽に話しあうことから、少人数のスタートでも、1人の患者が参加することにより、意義ある輪が広がる唯一の場がスタートしています。今後、継続して充実することにより、必ず、きっと、満足感が得られるようになります、患者は望みます。


 

がんと共に「いま」を生きるためのお手伝い がん看護専門看護師 伊藤奈央

「メディカル・カフェ」は、がん患者さんやご家族と医療スタッフが同じ場でお茶を飲みながら、診断をするのではなく、自由にがんについて語り合う、生きることを語り合う場です。現代の最新医療、抗がん剤治療の進歩を似てしても治すことができないがんを抱えながら、その人らしく生きる意味を語り合うことを大切としています。医療で埋めることができない「心」の隙間を埋めるお手伝いを病院の医療スタッフがさせていただけたらと開設致しました。がん治療は日々進歩していますが、治らないがんがあることも事実です。そのため多くの患者さんやご家族が、「これからどうなるんだろう・・・」「治療ができなければどうなるんだろう・・・」と不安を抱えていらっしゃいます。がんという現実があっても、「いま」を大切に生きてほしい、がんを忘れることはできなくても、過去を後悔し将来の不安を抱えるだけでなく、生きている自分に目を向けてほしいというのが私たちの願いです。

参加された患者さんやご家族からは、「1日の中で優先順位を考えるようになった」「自分が他の人のために何かできるんだと思える」「こんなこと聞いていいのかなぁと思うことも口にできる」との言葉を頂いております。がんと共に生きる患者さんやご家族のために、お手伝いができればと思います。

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