総合診療医3年コース

当県は他の都道府県に比べても医師不足が深刻である。四国と同等の広大な面積を持ち、さらに山岳で隔てられ医療の均霑が難しい状況にあって幾久しい。また、東日本大震災の影響もあり医療資源、特に医師の確保は以前にも増し大きな問題となっている。そんな過酷な岩手県のセンター病院として県民の健康を守るべく当院の果たすべき役割は非常に大きい。

たとえ特定臓器の専門医を志す者であっても、generalな診療能力を有することは日常診療上極めて有用である。専門医の多数いる当院にて各領域の専門知識・技術を修得し、地域医療を中心にオールマイティ対応できる医師の養成を行う。前述のごとく厳しい状況下にある岩手県の医療を支える「病院総合医」、「家庭医」の育成を目指す。

予防から治療、療養まで、すべてに携わることができる。将来の専門分野についてゆっくり考えたり、開業を目指して地域の方々との関係について学ぶためにも最適である。個々の研修医のニーズ、スキルに合わせた研修内容を各診療チームに所属して実地研修をする。従来より当院に存在する後期研修コースと連携し、関連病院での研修も可能。

取得可能な資格
日本プライマリケア連合学会認定医、家庭医療専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会認定総合内科専門医
研修期間

プログラムの全体構成(月単位の換算による)

総合診療専門研修 総合診療専門研修Ⅰ
(小規模病院)
(6)ヶ月
総合診療専門研修Ⅱ
(大規模病院)
(12) ヶ月
領域別研修 内科
(6ヶ月)
小児科
(3) ヶ月
救急科
(3)ヶ月
その他
(6)ヶ月

モデルとなるローテーション例

1年目 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
総診Ⅱ 総診Ⅱ 総診Ⅱ 総診Ⅱ 総診Ⅱ 総診Ⅱ 内科 内科 内科 総診Ⅰ 総診Ⅰ 総診Ⅰ
2年目 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
救急 救急 救急 小児 小児 小児 その他 その他 その他 内科 内科 内科
3年目 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
その他 その他 その他 総診Ⅰ 総診Ⅰ 総診Ⅰ 総診Ⅱ 総診Ⅱ 総診Ⅱ 総診Ⅱ 総診Ⅱ 総診Ⅱ

※連携施設への短期留学も可能

研修形態
年度初めに研修到達目標を配布し、受持ち症例名簿に記入、年次毎に到達度を評価する。
月に少なくとも一度は指導医による症例の振り返り・ヒアリングをおこない、翌月の目標を設定する。
後期研修医は日本専門医機構の定める総合診療専門医の到達目標(6つのコアコンピテンシー)を念頭に研鑚を重ねる。具体的には下記の通り。

・人間中心のケア:患者の健康増進に関わることができ、患者本人と家族のナラティブを大切にできる医師を目指す。総合診療医・家庭医として質の高い医療を提供し、適切なタイミングで専門医へのコンサルトができる。

・包括的統合アプローチ:特に岩手という医師不足が問題となっている地域において、住民が持つ健康問題に対し生物学的、社会的に関わることを重視する。臨床研究などを通じて地域の疾病予防・健康増進を目的とした継続的なケアの実現可能性を探る。

・連携重視のマネージメント:地域のリソースを発掘し、他業種とともに有機的に結び付ける。

・地域志向アプローチ:地域ニーズを把握し、院内外の多職種とともにリソースの適切な配分をおこなう。また、地域医療に対する学生や初期研修医の意識啓蒙、人材発掘にも寄与する。

・公益に資する職業規範:医師不足の地域においてワークライフバランスを重視し、個人の努力に依存しすぎないシステムの構築に携わる。また、外部から医師が来たくなるような働き方を提案・発信する。

・診療の場の多様性:超高齢社会の更なる進行が懸念される岩手県内で広い繋がりを持ち、診療所、市中病院、大学病院との関わりを強める。必要に応じて国内もしくは海外の先進地域に学びに行く姿勢を持つ。

その上で下記(1)~(3)に関し当院研修委員会による、個々の研修医の研修目標達成についての形成的評価会を1年に数回行い、研修到達度をフィードバックする。また、多職種や患者さんからの360度評価も行う。

(1)家庭医療専門医に必要であり研修成果の記録でもあるポートフォリオを定期的に作成し随時、指導医の添削・評価を受ける。

(2)日本プライマリ・ケア連合学会をはじめとする各種学会へ積極的に参加し、可能な限り演題発表・論文作成をおこなう。

(3)後期研修医は市中の研究会や勉強会にも参加し他施設、他業種とのつながり、連携を強めることに努める。

研修委員会はこれらの評価結果を、各科指導体制と研修プログラム改善の資料として活用する。各科指導医およびカリキュラム委員会が研修の目標レベルに到達していると認めた場合には、 研修管理委員会の承認後、臨床研修修了証を交付する。
研修修了後
診療所や往診クリニックでの家庭医療、総合病院における病院総合診療あるいは救急医療、または開業など多種多様のニーズに対応可能。

総合外科医コース

総合外科医コースの目的は、外科系総合診療能力をもった医師を育成することにあり、一般外科医に必要な基本的手術手技をまず体得し、その後続けて自分の希望する専門の外科専門医レベルまでの技術を修得する。

対象は2年間の初期研修を修了したレジデント(後期研修医)とする。
最初の1年6ヶ月間各外科をローテートし、日本外科学会専門医(総合外科専門医)を取得するに十分な手術件数を経験する。

各外科ローテート後に、自分の希望する専門の外科を選択し、サブスペシャリティ外科専門医(消化器外科専門医、心臓血管外科専門医、呼吸器外科専門医、小児外科専門医、乳腺専門医など)を取得すべくさらに高度な研修を行う。

取得可能な資格
日本外科学会専門医
研修期間
初期研修修了後3年間(初期研修から連続しなくても応募可)
研修形態
1年目から2年6カ月

消化器外科・小児外科 (6ヶ月)

心臓血管外科 (3ヶ月)

呼吸器外科 (3ヶ月)

乳腺内分泌外科 (3ヶ月)

地域医療研修 (3ヶ月)

2年7ヶ月目~3年目 : 自分の希望する各専門外科で研修する。

ローテートしてから希望する外科を選択しても可。

研修カリキュラム編成については、各外科診療科長・医療研修部長と協議する。

各レジデントの事情が異なるため、ローテート期間・順序の変更等は考慮する。

2年7ヶ月目以降も本人の希望でローテートの追加を検討するのは可。

レジデント1年目は週1回の第3当直を行い、初期研修医の指導にあたる。

研修修了後
専門医コースへの変更が可能である。専門医コースに進むと、サブスペシャリティ外科専門医(消化器外科専門医、心臓血管外科専門医、呼吸器外科専門医、小児外科専門医、乳腺専門医など)の取得資格が得られる。

ローテートの一例(個々の事情により変更可能)

3年目 4年目 5年目
消化器外科
小児外科
(6ヶ月)
地域研修
(3ヶ月)
心臓血管外科
(3ヶ月)
呼吸器外科
(3ヶ月)
乳腺内分泌外科
(3ヶ月)
希望専門外科
(6ヶ月)
希望専門外科
(12ヶ月)

Stroke専門研修コース

脳卒中 (Stroke) は死亡率第4位の国民病であり、東北地方での死亡率が高く、岩手県は全国でワースト1である。それにも関わらず、脳卒中に従事する医師は少なく、今後さらに増加すると考えられる患者数に対応が困難な状況となっている。このような状況も踏まえ、 Stroke専門研修コースを設けた。当院は岩手県屈指の脳卒中急性期医療施設であり、脳梗塞に対するt-PA治療や血管内治療など幅広く行っている。Stroke専門研修コースの目的は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの全般的な診療能力をもった医師を育成することにある。
研修は内科専門研修プログラムに準じて行い、内科専門医の取得を目指す。 Strokeを扱う神経内科を中心にローテ―トするプログラムとする。神経内科研修中は基本的な神経診察はもちろんであるが、脳梗塞診療に必要な脳神経超音波(頚動脈エコー、経頭蓋エコー、経食道心エコー、下肢静脈エコー)の習得(神経内科に脳神経超音波検査士が2名在中)、血管内治療(超急性期脳梗塞の血栓回収、頚動脈ステント留置術など)にも参加する(脳神経外科に脳神経血管内治療指導医1名、脳神経血管内治療専門医1名在中)。

当院での1年間の検査、治療実績は次の通り。

頚動脈エコー:200例程度、経食道心エコー:50例程度、下肢静脈エコー:50例程度、経頭蓋エコー:50例程度、脳血管撮影:200例程度、脳血管内治療:100例程度

研修期間
初期研修修了後1年間若しくは2年間(初期研修から連続しなくても応募可)
研修形態
1年間~2年間

脳神経外科  3ヶ月~21ヶ月

神経内科    3ヶ月~21ヶ月

最初に所属科として神経内科もしくは脳神経外科を選択してもらうこととするが、ローテート後に変更は可能である。
研修カリキュラム編成については、各診療科長・医療研修部長と協議する。
研修期間中3ヶ月間は地域医療研修を行う
レジデント1年目は脳当直業務の他、月1回程度の第3当直を行い、初期研修医の指導にあたる。
研修修了後
当院は日本神経学会教育施設であり、研修終了後に神経内科専門医の取得が可能である。その後、希望に応じて脳卒中学会専門医、脳血管内治療専門医の取得も可能である。
2016年5月時点で取得可能な資格は次の通り。
日本神経学会神経内科専門医、日本脳卒中学会脳卒中専門医、日本脳神経血管内治療学会脳神経血管内治療専門医、日本脳神経超音波学会脳神経超音波検査士

ローテートの一例(個々の事情により変更可能)

3年目 4年目(延長の場合)
神経内科
(5ヶ月)
地域医療研修
(3ヶ月)
脳神経外科
(5ヶ月)
希望専門科
(11ヶ月)

専門医5年コース

細分化した医療を総合的に実践し、医療全体に十分に対応できる医師を養成するとともに、より高度で専門性を発揮できる医師を養成する。

取得可能な資格
希望する診療科での認定医、専門医、救急専門医
研修期間
初期研修修了後5年間(初期研修から連続しなくても応募可)
研修形態
希望する診療科でのストレート研修を行う。
レジデント1年目は週1回の第3当直を行い、初期研修医の指導にあたる。科によっては、専門当直にも入る。
レジデント1~4年目に3ヶ月の地域医療研修を行う。5年目は1年間を中央病院で研修する。
研修カリキュラム編成については、医療研修部長、各診療科長と協議する。
研修終了後
正規職員としての採用を前提に、岩手県立病院での勤務を要請する。

※医療局医学研修規定により、医学研修派遣(長期・短期)が可能である。

専門医1年コース

細分化した医療を総合的に実践し、医療全般に十分に対応できる医師を養成する。ストレート研修を希望するものを対象とする。

取得可能な資格
無し。(ただし、当院が認定施設になっているものについては、一定の手続き後、勤務時間が積算できる)。
研修期間
1年間(さらに1年間の期間延長の申請が2回まで可能である(最長3年間)とする)
研修形態
希望する診療科でのストレート研修を行う。
週1回の第3当直を行い、初期研修医の指導にあたる。
3カ月の地域医療研修を行う。
研修カリキュラム編成については、担当する診療科長と協議する。
研修修了後
総合診療医コース、専門医コースへの変更が可能である。
中央病院以外の岩手県立病院での勤務を希望するものについては、研修カリキュラムを別途に相談可能である。

レジデント期間における地域医療研修

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
総合診療医5年コース 3ヶ月 3ヶ月 3ヶ月 3ヶ月
総合診療医3年コース 3ヶ月 3ヶ月 3ヶ月
総合外科コース 3ヶ月 3ヶ月 3ヶ月
Strokeレジデントコース 3ヶ月
専門医コース 3ヶ月 3ヶ月 3ヶ月 3ヶ月
1年間コース 3ヶ月 3ヶ月 3ヶ月

※ただし、地域医療研修を3ヶ月以上希望する場合には、適宜相談に応じる。

救急科専門コース

救急科研修コースは、将来岩手県立病院など地域で救急医療の専門医を育成することを目的とする。地域住民に救急医療へのアクセスを保障し、良質で安心な標準的医療を提供できる救急科専門医を育成することを目指すが、将来地域で働くことを考慮し、総合診療的救急医を育成する。

3年間の研修期間の間に、救急室での救急診療18ヶ月、ICU/HCUを12ヶ月、小児救急3ヶ月、地域(岩手県立宮古病院/西和賀さわうち病院)での救急診療3ヶ月以上をローテートする。

取得可能な資格
救急科専門医
研修期間
初期研修終了後3年間
定員
1名/年
研修修了後
サブスペシャリティ領域である集中治療医学領域専門研修プログラムやその他の領域に進むことも可能。また、大学で研究活動を行うことも自由である。

ローテートの一例

1年目 ER
1ヶ月
ER+ICU
3ヶ月
消化器外科
3ヶ月
脳神経外科
3ヶ月
地域(宮古)
2ヶ月
2年目 ER+ICU6ヶ月 整形外科
3ヶ月
小児科 3ヶ月
3年目 ER+ICU
4ヶ月
呼吸器外科
2ヶ月
地域(さわうち)
2ヶ月
消化器内科
2ヶ月
地域(宮古)
2ヶ月

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