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後期研修医について
脳神経内科 後期研修医 山﨑 直也
私は2017年に東北大学を卒業し、岩手県立中央病院で初期研修を行いました。学生時代から脳神経内科学自体の面白さ、守備範囲の広さ、未知の領域の多さ等について魅力に感じており、初期研修では脳血管障害の奥深さや劇的な急性期治療効果を目の当たりにしました。大学の内科専攻医プログラムに乗ることも考えましたが、岩手県医療局の奨学生であり県立病院勤務の義務がありました。当施設が脳血管障害において全国区であることを実感していましたので、当院脳神経内科での後期研修を選択しました。
当施設最大の強みは、岩手県最大・東日本最大級の症例数を生かした脳血管障害の超急性期治療と脳梗塞に対する詳細な原因検索、臨床研究にあります。脳卒中だけでなく脳神経内科として幅広く症例を受け入れており、変性疾患や自己免疫疾患などの症例も経験できます。希望があれば脳神経内科医でも血管内治療チームに参加可能です。脳神経センター全体が常にエビデンスを重んじており、外科・内科の壁をこえたディスカッションがなされています。臨床に重きを置きつつ、多くの経験症例数を生かして学会発表、症例報告、臨床研究等を並行していけるのも強みです。週1回ほどの当直は、バックアップの先生と相談しながら行っています。
卒後3年目は病棟・外来業務に加えて、脳梗塞に対する内科治療を学びながら、頸動脈エコー、経食道心エコー、下肢静脈エコー、経頭蓋エコーなどの技術を磨きました。現脳神経内科長の土井尻先生を中心にエコーでの診断・検査に強いことも当施設の特徴です。また、週1回ですが神経伝導速度検査、針筋電図検査も学ぶこともできました。 4年目からは、自身の希望で脳神経外科科長・脳神経センター長の木村先生をはじめとした血管内治療チームで研修をさせて頂きました。内科・外科問わずオープンに参加できる空気があり、外部からも多数の先生が治療日にいらっしゃいます。常に最善を追求する姿勢を厳しく求められる環境で、日々緊張感を感じますが、未破裂脳動脈瘤や頸動脈ステント留置術といった週平均3-4件の定期手術に加え、血栓回収療法、くも膜下出血に対するコイル塞栓術といった緊急治療に参加しました。もちろん脳神経内科としての病棟業務はそのままなので、血管内の予習・治療・復習の時間が増えてから輪をかけて忙しくなりましたが、通常の脳神経内科研修で得難い経験を積むことができました。
5年目になった今、まだまだ未熟ですが刺激的な日々を送っています。血管内治療では術者とさせて頂くことも増え、知識や技術的な未熟さを痛感しています。内科専門医制度の症例数は十分に溜まっています。 今後内科専門医、神経内科専門医、脳卒中専門医、脳神経血管内治療専門医を取得予定です。 学会発表は2年半の間で国内学会8回、国際学会1回(ポスター)の経験を積ませていただきました。先生方のご指導のもと、論文は2本掲載 (臨床神経、Neurosonology)することができました。まだまだやり残したことがあり、鋭意作成中です。
私はこの施設の経験しかありませんが、脳血管障害や血管内治療を中心に、後期研修医がここまで手を動かしながら経験できる施設は全国的に珍しいようです。 血管内治療に興味がなくても、脳梗塞内科治療の整備・病型診断・エコー・画像等、研究課題はたくさんあります。初期研修で脳血管障害にほとんど触れたことがない後期研修医もいます。様々なバックグラウンドを持ったスタッフ・研修医がいる面白い環境です。 少しでも脳血管障害に興味がある方、当院で研修してみませんか?