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循環器センター(循環器内科、心臓血管外科)
毎週月曜朝開催される「循環器センターミーティング」
当院では、循環器内科と心臓血管外科が緊密に連携しており、この二つの診療科で「循環器センター」を構成しています。当院の6階の東病棟に循環器内科、西病棟に心臓血管外科が配置されています。循環器内科は、循環器疾患のゲートキーパー役を果たしており、疾患の診断、治療方針の検討、心臓移植症例の登録業務、カテーテルや各種医療機器を用いた低侵襲的な治療を担当しており、国内有数の治療件数と良好な成績を維持しております。また、県内の他の施設の循環器内科で治療困難な重症例を積極的に受け入れ、高度な技術で救命しております。
また、心臓血管外科は、岩手県内における循環器疾患治療の最後の砦として、内科的には治療困難な重症例に対し、当院のみならず全県下からの患者さんを受け入れて治療をしており、国内有数の症例数と良好な成績を維持しております。毎週月曜朝には、合同で循環器センターミーティングを開催し、二つの診療科の治療成績の検証、合併症の分析を真摯な姿勢でさまざまな角度から科学的に行い、情報共有、成績向上に努めております。また、最新の治療法などをテーマに、合同の勉強会も行われ、活発なディスカッションが行われています。
当院は、岩手県立病院では唯一、開心術を施行可能な心臓血管外科を有する病院です。県内の心臓血管外科を有する施設は、岩手医大と当院の二つに集約されています。心臓血管外科は、最新のハイスペックな医療機器を装備する必要があり、また、医師には高度な知識と技量が要求される診療科です。そのため、施設を集約し、集中的な設備投資を行うことが理にかなっており、手術件数が集中することで、習熟度を高めることが可能です。岩手県では、県医療局の合理的な政策により、1969年の診療科開設当初から施設集約が実現しております。
近年、循環器疾患領域の治療は日進月歩で、急速に技術革新が進んでおります。患者さんの負担が軽い低侵襲的な治療の選択肢が、循環器内科、心臓血管外科ともに増えています。私たちは最先端の技術を正確に検証するため常にアンテナを張り巡らし、新しいからと妄信せず、功罪併せ持つことがまれでない新技術の本質を見抜き、より安全に施行するための手間を惜しまないことにしております。患者さんとご家族に治療についての詳しい内容を説明し、必要ならセカンドオピニオンも検討いただいた上、患者さん本人の意思を尊重する形で治療方針を決定しております。
当院循環器センターには、岩手県民の皆様に国内トップレベルの医療を安全に提供する責務があります。複雑化する最新の循環器医療では、循環器内科と心臓血管外科の連携はもとより、「ハートチーム」としての多職種の連携が不可欠とされ、日々努力を重ねております。その結果、2018年には、県内唯一の植込型補助人工心臓実施施設に認定されました。また、2020年4月より、循環補助用心内留置型ポンプカテーテル「インペラ」が使用可能となりました。2021年4月には待望のハイブリッド手術室が稼働し、7月よりTAVI (経カテーテル的大動脈弁置換術) も開始、さらに2023年3月にはMitraclipも開始されました。また、待望のヘリポートも当院隣接地に設置され、緊急対応能力の一層の向上が期待されています。
患者さんのお引き受けは、原則として24時間365日、休むことなく行なっております。県民の皆様の負託にお応えすべく、当院循環器センターの構成員一同、一層の精進をしてまいります。今後のさらなる発展にご期待ください。
岩手県立中央病院 循環器センター長 小田 克彦