心臓血管外科
小田克彦循環器センター長 兼 医療安全管理部長が,この度米国科学研究名誉協会(Sigma Xi)の正会員に選出されました。米国科学研究名誉協会(Sig
本協会にはノーベル賞受賞者200人以上(アルバート・アインシ
心臓血管外科に関する疑問、一般医療に関する疑問はこちらをご
当科のA型解離の治療戦略の論文をもとにアニメを作成しました
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スタッフの紹介
氏名 | 小田 克彦 (おだ かつひこ) |
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役職名 | 医療安全管理部長兼循環器センター長 |
出身大学(教室)・卒業年 | 東北大学(東北大学心臓血管外科)・平成3年 |
所属学会・資格等 |
東北大学医学部臨床教授(心臓血管外科)、医学博士、Sigma Xi (米国科学研究名誉協会、正会員)、三学会構成心臓血管外科専門医認定機構(心臓血管外科専門医・修練指導者)、日本外科学会(認定医・外科専門医・指導医)、日本心臓血管外科学会(評議員・国際会員)、日本胸部外科学会(評議員・終身認定医・終身指導医)、日本血管外科学会(正会員)、日本経カテーテル心臓弁治療学会(正会員)、日本人工臓器学会(正会員)、日本循環器学会(循環器専門医)、胸部・腹部ステントグラフト指導医、植込型補助人工心臓認定実施医、下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医、日本心臓血管外科手術データベース機構SV委員、日本医療安全学会(代議員・学会認定「高度医療安全推進者」・「メディカルピアサポーター:初期心理支援者」資格取得者)、日本臨床補助人工心臓研究会、日本心臓リハビリテーション学会(正会員・心臓リハビリテーション指導士)、臨床研修指導医、医療安全管理者資格取得者、緩和ケア研修会修了者、PTLS講習会修了者、ACLSプロバイダー(G2020) https://orcid.org/0000-0003-0953-671X
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氏名 | 片平 晋太郎 (かたひら しんたろう) |
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役職名 | 心臓血管外科長 |
出身大学(教室)・卒業年 | 山形大学・(東北大学心臓血管外科)・平成16年 |
所属学会・資格等 |
医学博士、三学会構成心臓血管外科専門医認定機構(心臓血管外科専門医・修練指導者)、日本外科学会(外科専門医・指導医)、日本心臓血管外科学会(評議員・国際会員)、日本胸部外科学会(専門医会員)、日本血管外科学会(評議員)、日本冠動脈外科学会(評議員)、日本低侵心臓手術学会、日本人工臓器学会(正会員)、日本移植学会(移植認定医)、日本循環器学会、日本冠疾患学会、日本外科感染症学会(インフェクションコントロールドクター)、胸部外科学会(EACTS)会員、胸部ステントグラフト実施医、腹部ステントグラフト指導医、植込型補助人工心臓認定実施医、下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医、臨床研修指導医 https://orcid.org/0000-0002-2796-8287
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氏名 | 高橋 誠 (たかはし まこと) |
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出身大学(教室)・卒業年 | 東北大学(東北大学心臓血管外科)・平成24年 |
所属学会・資格等 | 日本外科学会(外科専門医)、三学会構成心臓血管外科専門医認定機構(心臓血管外科専門医)、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本血管外科学会、日本循環器学会、医学博士、腹部ステントグラフト指導医、胸部ステントグラフト実施医、下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医、臨床研修指導医 |
氏名 | 武富 龍一 (たけとみ りゅういち) |
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出身大学(教室)・卒業年 | 東北大学・平成28年 |
所属学会・資格等 | 日本外科学会(外科専門医)、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本血管外科学会、医学博士 |
氏名 | 長谷川 喬彦 (はせがわ たかひこ) |
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出身大学(教室)・卒業年 | 東北大学・令和2年 |
所属学会・資格等 | 日本外科学会、日本胸部外科学会、日本血管外科学会 |
氏名 | 赤沼 利奈 (あかぬま りな) |
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出身大学(教室)・卒業年 | 岩手医科大学・令和2年 |
所属学会・資格等 | 日本外科学会、日本胸部外科学会、日本血管外科学会 |
当科では、心臓および血管疾患に対する外科治療を担当しています。主として学童期から成人、さらには80歳を超えた高齢者まで、年間300~350件の心臓血管外科手術を行っております。原則として24時間365日、休まず患者さんをお引き受けしています。
岩手県民の皆様に、長期成績の安定した標準的な心臓血管外科手術を提供するため、たゆまぬ努力を重ねております。
虚血性心疾患
心臓自体を養う「冠動脈」の病気で、急性心筋梗塞や狭心症のことです。胸痛などで発症します。多くの場合、循環器内科によってカテーテルによる治療(PCI:経皮的冠動脈形成術)が行われていますが、左冠動脈主幹部の入口部や分岐部など、複雑な病変の患者さんは、心臓外科医が行う冠動脈バイパス術(CABG)の方が良好な遠隔成績であることが確立されています。CABGのゴールドスタンダードであるLITA-LADの開存率は当科の過去5年で99%以上です。ほとんど全ての症例で心拍動下に吻合を行っています。PCIかCABGかの選択は循環器内科、当科の他、多職種で構成される「ハートチーム」で協議されています。
また、急性心筋梗塞を発症した後に、左心室が破裂したり、心室中隔に穴が開いた場合も当科で緊急手術を行い救命しています。また、高度に心機能が低下した虚血性心筋症では、通常のCABGが無効な場合、補助人工心臓による治療も行っています。左室にコブができて心不全になる左室瘤に対する左室形成術も安全に行われています。
弁膜症
心臓の中の弁が狭くなったり、漏れるようになり、心臓に負担がかかる病気です。息切れなどで発症します。僧帽弁、大動脈弁、三尖弁が主な治療対象です。僧帽弁と三尖弁についてはできる限り弁形成を行いますが、困難な場合は弁置換も行います。大動脈弁は、主に弁置換を行っています。原則的に、人工心肺を用いて心臓を停止させて行う手術をこれまで行ってきております。心臓の動きをリアルタイムに三次元で表示できるエコーを用いて正確な評価をしながら、弁膜症治療を行っています。
当院でも、2021年4月よりにハイブリッド手術室が稼働、カテーテル的な弁膜症治療が開始されました。TAVIという大動脈弁に対する治療とMitraclipを使用した僧帽弁に対する治療が行われていますが、当科としては積極的に関与し、さまざまな治療法を循環器内科と協力しながら導入していく予定です。多職種による「ハートチーム」により、最適な治療選択が行われるよう検討しています。
このほか、感染により弁の破壊が急速に進む感染性心内膜炎による急性心不全、心筋梗塞後に起きる乳頭筋断裂の患者さんも積極的に受け入れ、救命しています。
重症心不全
拡張型心筋症、肥大型心筋症拡張相や、劇症型心筋炎など重症心不全をきたす疾患はさまざまです。通常の内科的治療や外科的治療で改善せず、重篤な状態になった場合、補助人工心臓の治療が必要となります。補助循環の機器の発達は日進月歩です。
この治療にも、多職種の連携が重要で、当院ではこの領域の治療を円滑に進めるため、補助人工心臓センターを設置し、専門外来も開設しており、県内唯一の植込型補助人工心臓実施施設に認定されております。また、2020年4月より循環補助用心内留置型ポンプカテーテル「インペラ」が使用可能となりました。植込型補助人工心臓認定実施医が2名、人工心臓管理技術認定士が2名、体外循環技術認定士が5名在籍しています。
また、東北地方では唯一の心臓移植指定施設である東北大学病院と緊密に連携しております。また、他の県立病院からの受け入れはもちろん、岩手医科大学からも重症例についてはお引き受けしています。
先天性心疾患
生まれつきの心臓の病気です。当科では学童期以降の単純な先天性心疾患を主に治療しております。ただ、こうした疾患は、昨今、検診の普及や診断能力の向上で、幼少期にカテーテル治療が行われる時代となっており、成人例に至る症例は近年減少しております。新生児期、乳幼児期に治療が必要な複雑な先天性心疾患は、全国的に専門のこども病院などの施設で治療が行われており、当科では行っておりません。岩手医科大学や宮城県立こども病院などで治療が行われています。
心臓腫瘍や心膜疾患
心臓の中に腫瘍ができた場合は、当科で治療します。人工心肺を用いて心臓を停止させて腫瘍を取り除きます。多くの場合、粘液腫という良性腫瘍で切除後は治癒します。心臓に悪性腫瘍ができることは稀ですが、腫瘍の種類によっては当科で治療を行うこともあります。肺に広がっている場合などは、呼吸器外科との合同手術も行っています。
心膜が厚く硬くなり、心臓が血液を受け取るために拡張することが制限される病気を収縮性心膜炎と言います。開胸下に心膜を丁寧に剥がしていき、心臓の圧迫を解除する手術を行います。この疾患も当科で治療しております。
急性大動脈解離
急性大動脈解離は、激しい背部痛などで突然発症する致死的な疾患です。心臓に近いところまで病変が及ぶA型、心臓に近いところは無事なB型の2種類があります。A型については、可能な限り速やかに選択的脳灌流下、人工心肺下に緊急手術を行い、救命しています。また、B型についても発症時から積極的に受け入れております。いずれの成績も良好で、救命率は高いです。
当科のA型解離の治療戦略の論文をもとにアニメを作成しました
近年、この疾患に対するステントグラフト内挿術が行われるようになり、良好な成績が報告されています。当科でも積極的に導入しています。発症時から当科が関与し、腹部や下肢虚血や破裂、急速な偽腔拡大をきたす場合に時期を失せずにステントグラフトを留置しています。
大動脈裂孔の重要性を認識し、タイミングよく適切な位置、長さのステンドグラフトを留置することで早期成績、長期成績ともに良好です。
当院は、胸部ステントグラフト実施施設に認定されています。大動脈外傷や大動脈解離に対するステントグラフト治療は、2つ以上の機種に熟達した指導医の在籍が必要ですが、当科では2名の指導医がその条件を満たしております。
胸部大動脈瘤
大動脈瘤は、破裂する瞬間までほとんど無症状で経過します。検診や他の病気の経過中にたまたまとったCTで見つかることが多いです。弓部大動脈瘤や胸腹部大動脈瘤など、胸部の大動脈瘤は、従来、胸部を大きく切開し、人工心肺を使用して行う人工血管置換術が主に行われてきました。当科でも選択的脳灌流、腹部分枝灌流などの特殊な回路も安全に実施され、良好な成績を維持しております。さらに、この分野でもステントグラフトの適応が拡大され、最近はこの領域では6割の患者さんでステントグラフト治療を行っています。切開は足の付け根に1カ所と、必要に応じて左右の鎖骨の下にそれぞれ1カ所をおくだけで、治療が可能です。
人工血管置換術とステントグラフト治療は、施設によっては別々の診療科が行っていたり、異なる医師が担当することもありますが、当科では両者に精通し、いずれの治療もこなせる心臓外科医が担当することで、それぞれの長所短所を詳しく説明でき、患者さんにその選択を納得していただいた上で、治療をしております。高齢者の患者さんも多く、解剖学的な要件が適合すれば原則としてステントグラフトで治療しております。
当院は、胸部ステントグラフト実施施設に認定されています。指導医は2名在籍しています。
腹部大動脈瘤
腹部大動脈瘤も、破裂するまで症状はほとんどありません。まだまだ破裂してから救急車で当科に搬送される方も多く、早期発見、早期治療が重要な病気です。破裂してからの治療は救命率も低いです。検診や人間ドックでの発見、あるいは、他の病気の治療中に偶然見つかる場合が多いです。
治療としては、従来、腹部を大きく切開して人工血管置換術が行われていました。こちらは胸部と違い、人工心肺は不要です。解剖学的な条件が適合すれば、ステントグラフト治療が行われ、最近は、7割以上の方でステントグラフトによる治療が行われています。切開は足の付け根に1~2カ所のみで行うことができますので、高齢者でも回復が早いです。最近は、パークローズ®を使用することで足のつけ根のキズも数㎜ほどになっており患者さんの負担軽減を実現しています。
当院は、腹部ステントグラフト実施施設に認定されています。指導医は3名在籍しています。
末梢動脈疾患
末梢動脈の慢性閉塞や狭窄疾患は、従来、人工血管などによるバイパス手術が行われていましたが、この領域も近年、カテーテル治療が進歩し、バイパス手術が行われる頻度は減少しています。一方、急に腕や脚が痛くなり、色調が悪くなる急性動脈閉塞は、緊急でバルーンによる血栓除去術が行われますが、こちらは当科で行っています。
下肢静脈瘤
下肢静脈瘤は、立ち仕事の方に発症しやすい病気で、下腿の表面の静脈が膨れ、症状が重くなると痛み、色素沈着などを起こします。当科では、患者さんの負担を少しでも軽くするため、ラジオ波による血管内焼灼術を行っています。静脈瘤の切除は2-3mmの小さな切開で行っており、できるだけ傷が目立たないように努力しています。
当院は、下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の認定施設です。指導医は3名在籍しています。
毎週木曜の夕方には、多職種による心臓血管外科術前ミーティングが行われています。心臓外科医のほか、外来、手術室、ICU、HCU、臨床工学技士、リハビリ部門から参加しており、麻酔科医や病棟にも情報が共有されています。患者さんの手術対象疾患の詳細な把握、術式の検討、既往歴や家族歴の確認、内服の内容などが詳細に検討されています。当科の術前の入院期間は1~2日となっていますので、主に外来待機中に術前検査を進めています。1名の患者さんの検討は、2週間にわたって2回ずつ行っており、検査の漏れや情報把握の不足がないように細心の注意が払われています。
当院は、外科手術の全国的な登録制度であるNational Clinical Database (NCD) に施設として協力しています。その中の心臓血管外科の部分は、JCVSD(日本心臓血管外科手術データベース機構)が組織されており、当科の手術に関連するデータをすべて登録しています。個人情報保護法に基づき、氏名など個人情報に関する情報は除外されています。
このデータベースには、全国のすべての心臓血管外科のある施設からすべての手術について登録がされており、自施設が全国の水準と比較して、患者さんの重症度がどのくらいなのか、どの点が優れているのか、どの点が改善の余地があるのかを客観的に知ることができます。知ることができるのは自施設と全国水準の比較だけとなっています。当科でも、このデータベースをもとに、客観的に自施設の成績を分析し、よりより治療が提供できるよう、たゆまぬ努力を続けています。