腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)

粘膜の下にできる腫瘍は粘膜下腫瘍といい,良性から悪性まで様々なものがあります.消化管間質腫瘍(GIST)もそのひとつであり,腫瘍径2cm以上のものは潜在的悪性または悪性と考えられ手術治療の適応となります.

胃粘膜下腫瘍に対する手術療法は,腹腔鏡下胃局所切除術が簡便かつ安全な術式として広く普及していましたが,腹腔内の観察のみでは腫瘍の局在の把握が困難なことがあり,したがって過剰な切除となり大きな胃の変形を来すことがありました.これに対してLECSでは,胃内腔と腹腔側から正確な腫瘍局在の把握が可能であり,内腔から適切な断端距離を確保した切離が,また腹腔側から変形を少なくする縫合ができ,必要最小限の部分切除が可能となりました.2014年LECSが保険で認められたため,当院では管内発育型で潰瘍形成のない腫瘍径5cm以下のGISTに対して,消化器外科医と内視鏡医が協調してLECSを行っています.個々の病態にもよりますが,手術時間は約2~3時間,入院期間は約1週間です.LECSの問題点としては,胃壁の開放による内容物の腹腔内への流出や粘膜病変を有するGISTでは腫瘍播種の危険性があげられています.最近では,胃壁を開放しない種々の関連術式が考案され臨床応用されています。

消化器内科 池端 敦

     

a:体部小彎の粘膜下腫瘍,b:超音波内視鏡像(筋層に連続した腫瘍),c:粘膜マーキング,d:周辺切開,e:胃壁の穿孔,f:内腔からみた縫合線

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